2010年11月21日日曜日

エグゼクティブのための健康管理術

 わたしは今までに大物政治家、建築業界でNo.1の不動産会長をはじめ、1部上場企業社長や年収2000万以上の患者をたくさんみてきました。本当に一流の人は健康管理も仕事の一環として普通に勉強しています。

 この一流の人たちは、20代までは趣味とビジネススキルを学ぶのに多くの時間を割いていますが、35歳を越えてから年齢を重ねるごとに健康について考える比率が高くなります。そのきっかけは突如病気になり働けなくなったときの不安感を体験したり、将来のビジョンを達成するには健康でなくてはいけないと気付いたりしたことです。しかし、こうした一流の人が引退まで健康でいられるかというと話は別です。この分かれ道は、正しい健康情報を手に入れ実践できたかどうかがポイントとなります。

 昨今、サプリメントをはじめとする補完代替医療が乱立しています。その中で何が本当にいいのか分からなくなっており、体に良いと言われていたものが数年後には悪いと言われる時代です。自分の体は自分で管理する時代だからこそ、健康について確かな情報と幅広い知識を身につける事が重要です。

●免疫力の差が人生を左右する

 免疫力を高める方法は、学問的には確立していません。しかし経験的に、「フィトケミカル」(植物由来の化合物)が免疫力を高めることが分かっています。では、このフィトケミカルとは一体何でしょうか。初めてこの言葉を聞く人が多いと思いますが、実はとても身近なものなのです。それは植物からのみ得られる重要な物質であり、例えば、赤ワインのポリフェノールや緑茶のカテキンなどが当たります。

 植物は「光合成」という過程を必ず行います。この際、水と二酸化炭素を原料に、水と酸素のほか、タンパク質、脂質、炭水化物の三大栄養素、これにビタミン、ミネラルを加えた五大栄養素を産出します。しかしこれとは別に、健康の源であるフィトケミカルを植物は作り出しているのです。これを摂取するのとしないのとでは長い目で見たら人生を大きく左右します。

 医学の歴史は、薬草を医療に活用したことから始まっています。今でも発展途上国の7割以上の人々が薬草を使っているのが現状です。病気に対する有効成分がフィトケミカルですが、日本をはじめとする先進国では化学合成された医薬品に頼り過ぎ、残念ながら自然医療を過小評価しています。今も昔もフィトケミカルと人間の健康は切っても切れない関係にあります。普段、わたしたちは何気なく野菜を食べていますが、実はフィトケミカルを食べているのです。野菜を食べないと体調が優れないということを本能的に知っています。しかし、野菜は無意識に食べるのではなく、意識して目的に合った野菜を摂取した場合、軽い病気であれば医薬品に頼らなくても回復することが多々あります。

●フィトケミカルパワーについて

 ここで、フィトケミカルが持つ効能について詳しく紹介します。

?強い抗酸化力を持つ

 抗酸化力は、人間が健康を保つために必要なもので、免疫力と密接に関係しています。わたしたちの体を酸化させる犯人は活性酸素であり、細胞は酸化すると免疫力が低下します。がんを引き起こすのもこの活性酸素が関係しています。

?体内のマクロファージを活性化する

 わたしたちの周辺には細菌が何十億個も存在しており、常に細菌と触れ合っています。それでも健康でいられるのは、侵入した細菌から体を守る働きをするマクロファージがあるからです。

この2つの特徴によって免疫力が高まりますが、具体的には次の5つの効果が知られています。

1.血液をサラサラにする

血管の老化を防ぎ、血液の流れを良くします。血流が良くなることで、体温が上昇し、免疫細胞が活性化されます。

2.ストレスを取り除く

 あらゆる病気にはストレスが関係しています。興奮し過ぎても、落ち込み過ぎてもいけません。この感情の起伏を一定の方向に調節する働きがあります。

3.肌にハリを持たせる

 植物由来の化粧品は化学合成されたものよりも断然効果が違います。

4.病気を予防し、治療する

 フィトケミカルは薬効成分そのものであり、病気の予防だけではなく治療もします。

5.ホルモンの分泌を助ける

 生活する上でホルモンバランスは重要です。このバランスが崩れると自律神経失調症と言われる、いまだに有効な治療法がない難病になります。フィトケミカルは、ホルモンのバランスを調節します。

 このように、フィトケミカルはわたしたちの体を守る重要な役割を果たしています。

●「7色の野菜」でバランス良く食事を取る

 食生活で、昔に比べて大きく変わった点があります。それは、食材を色と味で選ばなくなったことです。野菜の色は、それぞれの野菜に含まれるフィトケミカルに由来しています。まずは色に注目して食事のバランスを考えて下さい。

?赤系のフィトケミカル

 トマトやスイカの赤い色素成分であるリコピンは、ビタミンEの100倍、カロテンの2倍以上の抗酸化作用を持つと言われます。がんや動脈硬化の予防、紫外線?アレルギー対策に有効です。

?赤紫系のフィトケミカル

 赤ワインやブドウの色素成分であるアントシアニジン。これは、加齢による視力低下を予防し、高血圧を防ぐ作用があります。

?橙系のフィトケミカル

 ニンジン、マンゴー、カボチャの色素成分であるβ-カロチンには、活性酸素を消去する効果、LDLコレステロールを低下させる効果があります。

?黄系のフィトケミカル

 トウモロコシに最も多く含まれるルテイン。これは緑黄色野菜などに多く含まれるフィトケミカルですが、眼によく抗酸化作用があります。

?黄緑系のフィトケミカル

 ホウレンソウやアボガドの色素成分であるゼアキサンチン。これは眼に有害な青の光をフィルターにかけ、白内障を予防する効果があります。

?緑系のフィトケミカル

 ブロッコリーや青汁の原料のケールの色素成分であるクロロフィル(葉緑素)にはデトックス効果があり、腸管で有害物質を除去します。

?白系のフィトケミカル

 ネギ、ニンニク、キャベツなどの色素成分である硫化アリルには、ビタミンB1の吸収を促進する働きがあります。疲労回復に有効で、血液をさらさらにし、免疫力増加に役立ちます。

 このように、色で野菜を選ぶことは非常に効果的です。7色の野菜を万遍なくとることで必要なフィトケミカルを確実に摂取でき、免疫力が高まります。また、容易に手に入れることのできる食べ物の中で、免疫力を高める食材トップ5は、ニンニク、タマネギ、ショウガ、キャベツ、玄米です。これらの食材は一度にたくさん食べるのではなく、毎日少しづつ食べることが重要です。

●病気が消えるハーブ習慣

 最後に誰にでも手軽でき、効果も期待できる「お茶療法」を紹介します。わたしがハーブティーを勧める理由は2つあります。1つは民間療法としては比較的安全であり、自分1人でできます。他人に勧めても問題ありません。

 2つめは継続するのが簡単な点です。続かない食事療法よりは、黒烏龍茶やカテキン緑茶などをはじめとする健康茶を飲むことは誰にでもでき、それなりの効果が期待できます。注意点としてハーブティー(茶葉)はスーパーや通販、雑貨屋でも購入できますが、なるべく対面販売をしている専門店(ハーブショップ)で購入して下さい。詳細は誌面の関係上、割愛させていただきますが、ハーブティーに関しては参考書がたくさん出ていますので、興味がある方はそちらも参考にして下さい。

●入谷栄一お勧めブレンドレシピ

?かぜ?インフルエンザ:エキナセア1.5g+エルダーフラワー1g+ネトル0.5g
?花粉症:緑茶1g+ネトル1.5g+エルダーフラワー0.5g
?生活習慣病:マルベリー2g+ダンディライオン1g 毎食前に飲むのが効果的。

急須に上記の茶葉を入れ、

(1)200mlの熱湯を注ぐ

(2)3分?5分間、必ず蓋をして蒸らす

(3)茶葉は1回ごとに取り替える

 上記のような方法で、まず試してみて下さい。風邪や花粉症であれば、何となくいいかなという実感がわくと思います。【入谷栄一(呼吸器?アレルギー内科専門医)】

(ITmedia エグゼクティブ)

引用元:パーフェクトワールド(Perfect World) 専門サイト

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